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BRAND HISTORY | 0/0 neru design works

キャンプブランド

0/0 neru design works

2022.9.27

群雄割拠のキャンプガレージブランド業界。

その中でも古参であり、先駆け的なブランドである「0/0 neru design works(ネルデザインワークス)」。

その高いデザイン性は元より、国産品であったりハンドメイドであったりと、その高い品質も魅力で、常に多くのファンを魅了するアイテムを生み出し続けている。

“欲しいものをカタチに”をコンセプトとし、その商品群はレザー・木工・金属製品からテント制作までと幅広い。「経年劣化するようなモノではなく、長く使うことで経年優化していくようなモノづくり」に拘ってモノづくりをしているブランドだ。

今回、neru design worksのブランドストーリーに迫り、その人気の秘密や商品の誕生秘話、モノ作りへのこだわり、0/0に込められた想い、そして今後の展望について、ブランド代表のneruさんこと重弘剛直さんにお話を聞かせてもらった。

ファンの方もそうでない方も、絶大な人気を誇るガレージブランドneru design worksの魅力がどういうものか、存分に楽しめる内容になっているので、是非とも味わって頂きたい。

Chapter

  • 01.

    ブランドのはじまりは個人のSNSからだった

  • 02.

    経年優化が伝えるneru design worksのメッセージ

  • 03.

    ブランドの知名度をあげていった唯一無二の斧

  • 04.

    モノ作りを追求したメイド・イン・ジャパンなアイテムたち

  • 05.

    0/0に込めたneru design worksの想い

  • 06.

    紆余曲折のあったオリジナルテント「CAVE」

  • 07.

    0/0 neru design worksのこれから目指すもの

群雄割拠のキャンプガレージブランド業界。

その中でも古参であり、先駆け的なブランドである「0/0 neru design works(ネルデザインワークス)」。

その高いデザイン性は元より、国産品であったりハンドメイドであったりと、その高い品質も魅力で、常に多くのファンを魅了するアイテムを生み出し続けている。

“欲しいものをカタチに”をコンセプトとし、その商品群はレザー・木工・金属製品からテント制作までと幅広い。「経年劣化するようなモノではなく、長く使うことで経年優化していくようなモノづくり」に拘ってモノづくりをしているブランドだ。

今回、neru design worksのブランドストーリーに迫り、その人気の秘密や商品の誕生秘話、モノ作りへのこだわり、0/0に込められた想い、そして今後の展望について、ブランド代表のneruさんこと重弘剛直さんにお話を聞かせてもらった。

ファンの方もそうでない方も、絶大な人気を誇るガレージブランドneru design worksの魅力がどういうものか、存分に楽しめる内容になっているので、是非とも味わって頂きたい。

ブランドのはじまりは個人のSNSからだった

neru design worksを運営されているneruさんこと、重弘剛直さん。

neru design worksのはじまりは、8年ほど前。

当時、繊維メーカーに勤めていたneruさんは、週末のたびに自然の中での癒しを求めてキャンプに行っていた。

「20代、30代前半は週末になると仲間たちや家族でキャンプに行ってましたね。週末キャンプにいくために平日に仕事を頑張る、みたいな感じでした(笑)」

もともと絵を描いたり、モノ作りといった事が好きで、はじめは個人としてInstagramで自分の作ったレザークラフトだったり木工品だったりとハンドメイドのものを多く発信していた。

neruさんが当時乗っていたDEFENDER。カラーリングやカスタムに個性とセンスが光る。

当時は、SNSで発信することもまだ一般的ではなかったが、色々投稿する中でプライベート用に作った「革で作ったOD缶カバー」の投稿がフォロワーからの反応が良かったそうだ。

「これ欲しいです。」という反応を見て、SNSの大きな可能性に気づいたことがブランドの始まりだった。

「そのOD缶カバーも、浅草橋の革屋さんを回って革選びからこだわりました。いくつも見ていくうちに、栃木レザーのヌメ革が上質な光沢感とアウトドアに適したタフさの両方を兼ね備えていたので、これを使おうと。デザインは極力無駄を削ぎ落としてシンプルに、縫い合わせの糸は最小限の糸で、全て手作業で作りました。」

「Nume」。極限までシンプルさを追求し無駄を削ぎ落としたOD缶用レザーカバー。

「実はOD缶カバーよりも前に作ったものがあって。キャンプで使うために、編み込み式のハンモックを作ったんです。売る用ではなく完全に自分や子供達が使う用に。ハンモックからですかね、既製品で欲しいと思えるものがなければ、自分で作れば良いと思うようになったのは。」

ハンモック=寝る(neru)。

その製品化されていないハンモックこそが、
実は「neru design works」というブランド名の由来だったのだ。

経年優化が伝えるneru design worksのメッセージ

「FUTAMATA」。お気に入りのランタンを2灯化できる二股のガス管。

neru design worksのアイテムは新品の状態でも格好よいが、長年使い込んで行くことで良い味がでてくるものが多いのも特徴だ。

「僕は経年優化して行くものが好きなんです。はじめに作ったOD缶カバーのNumeもそうですし、その次に作った二股のガス菅のFUTAMATAもそうです。」

FUTAMATAというのはランタンを2灯化できるアイテムで、OD缶カバーNumeの次に発売されたアイテムだ。

ガス菅が削り出しの真鍮で作られているため、一緒に過ごした時間だけ素材や質感が味わい深く変化していく。

素材や製造方法など徹底的にこだわり抜いたneru design worksのアイテムは、購入したときにだけ満足いくものではなく、長年使い込むことでじわじわと素材の本質が出てくるようなものばかりだ。

それは、10年20年と長く使って大事にしてほしいというメッセージが製品に込められているように感じた。

「AL Cooker」。オリジナルで作成したアルミ鋳造のホットサンドメーカー。使い込むことで、自分だけの道具になっていく。

ブランドの知名度をあげていった唯一無二の斧

「Ono kezuru」。楢材の柄を削った、より握りやすく唯一無二な斧だ。

ブランドの知名度を上げるきっかけとなったアイテムは、同じくガレージブランドのasimocraftsとのコラボ商品「Ono kezuru」だという。

「Asimoさんとは同時期にブランドを始めたいうこともあって、キャンプ仲間だったんです。一緒にキャンプをして話しているうちにこのアイテムが生まれ、ブランドとして一緒に大きくなっていきました。今でも一緒にイベントを回ったりしていて、本当に同志といった感じです。」

まだSNSがブランディングとしてのツールではなかった時代に、
Instagramを通じてブランドを大きくしていったneru design works。

「一気に売れたという訳ではなく、SNSで共感者を得て、徐々にブランドが根付いていった感はあります。」

斧を作るための刃から鍛造したモデルのプロトタイプ。

ただそこにはneru design worksのモノ作りへのこだわりがあったからこそ、周りは共感でき、ファンが増えていったのだろう。

「Ono kezuru」はそのneru design worksのモノ作りを象徴するアイテムだ。

持ち手のオーク材は職人がひとつひとつ柄を削り出し、刃の部分は新潟県燕三条の職人さんの手作業で作られている。

持ち手の部分をよく見ると、ひとつひとつ違いがあるのだという。

「メーカーに勤めていたからこそ、素材やひとつひとつの製造工程を追求し、大量生産ではできないことをやっていきたいんです。」

まさにneruさんの人生の経験がneru design worksのモノ作りの根底にあるものなのかもしれない。

「AL Dutch」。鋳造した本体をひとつひとつ研磨して仕上げたアルミ鋳造のダッチオーブン。

モノ作りを追求したメイド・イン・ジャパンなアイテムたち。

「金子眼鏡 × neru design works オリジナルサングラス」。
世界的に有名な眼鏡の産地である福井の鯖江を代表する金子眼鏡さんとコラボ作品。

neruさんはメーカーに勤めている時から、日本のモノ作りが空洞化していっているのを感じていたと言う。

例えば、日本の刃物技術というのは世界的に見ても素晴らしいのに、廃業していく鍛冶屋が多く技術継承もままならない。身近なところで言えば、繊維製造業も海外生産が主流となり国内での生産は減るばかりだ。

「モノ作りをしていく上では、常に日本の優れた技術や職人さん達と製品を一緒に作ることを心掛けています。neru design worksの製品を通じて、日本の優れたモノ作りを発信しながら、少しでも日本のモノ作りに貢献できればと思っています。」

neru design worksのアイテムには、先述したOno kezuruのほかにも、鯖江の金子眼鏡とサングラスを作ったり、越前打刃物の鍛冶工房と包丁を開発したりと、日本のジャパニーズブランドと関わった、まさにメイドインジャパンなアイテムがたくさんある。

2020年数量限定発売「shinku-kan 12V-6V6」。“今まで持ち出せなかった音を持ち出す” のコンセプトのもと作られた真空管アンプ。

2020年に数量限定で発売した「持ち運びができる真空管アンプ」。

ポータブル電源があれば、キャンプ場で真空管アンプで音楽が楽しめる贅沢なアイテムだ。

この製品もブランドのつながりから生まれている。

ガレージブランド仲間のOLD MOUNTAINさんが、neru design worksで販売していたポータブル電源を見て「これで真空管アンプをアウトドアに持ち出せたら最高じゃない?」と言い出したのがコトの始まりだ。

「OLD MOUNTAINさんは音楽業界にも顔が広く、真空管アンプの製作ができる方と知り合いだったので、その方の協力もあり、ポータブル電源で外でも使える真空管アンプが実現したんです。これも思えば、ジャパニーズブランドのつながりで生まれていますね。」

思いもよらぬところから新しいモノが生まれるのも、ガレージブランドにしかできないことかもしれない。

0/0に込めたneru design worksの想い

neru design worksのアイコンになっている0/0。

ブランド名を「ネルデザインワークス」と読んでいるが、正式なブランド名のはじまりには「0/0(ゼロ分のゼロ)」というアイコンがついている。

これにはどういう意味があるのかをneruさんに聞いてみた。

「これはブランド立ち上げた時からあるものなのですが、数学上0を0で割ることはできないんです。1を1で割る、2を1で割るように決められた一つの答えがあるものではない。ブランドとしての可能性も決められた答えに縛られないように0/0というアイコンをつけました。」

モノ作りにおいて、決められた答えに縛られたくない、やることに制限をかけたくない、そんな想いが込められているそうだ。

ちなみに私のiphoneの計算機で「0/0」をしてみると、結果には「エラー」と出た。0ではないのだと感心した。

紆余曲折のあったオリジナルテント「CAVE」

2022年発売「オリジナルテント/CAVE」。

0/0の想いを掲げ、日本のモノ作りへのこだわりを持ち続け、数々のアイテムを作り出してきたneru design works。

2022年2月、ついにはテントを作ってしまう。
そこにも妥協は全くなく、neru design worksでしか作れないテントだ。

neru design works 「オリジナルテント/CAVE」。

現在発売されているほとんどのテントは海外製だが、当初はどうしても日本製にこだわっていた。

「どうにか日本製で作れないかと模索したんですが、どうしても難しかったんです。そんな中で中国のテントブランドTFS(THE FREE SPIRITS)とつながりができ、テント作りに着手していきました。」

TFSは中国のテントブランドとはいえ、自社工場を持ち、量産ではなくベテランの縫製士によって何よりも品質を優先して一張一張丁寧に縫われてテントが作られている。

「CAVE」のコンセプト図。

CAVEのコンセプトは「日本の四季を楽しむために、年中使えるテント」というものだった。冬のキャンプを考えると薪ストーブが使えること、また結露しないことが望ましい。

「メーカーだとどうしてもリスクを排除する方向に動いてしまうため、薪ストーブを使うための煙突ポートがありません。でも実際に使う人はテントに自分で穴をあけて薪ストーブを使う。その方が逆に危ないんじゃないか?と、そこに矛盾を感じ、安全性を考慮した煙突ポートのあるテントが作りたかったんです。」

デザインにもこだわりたかったため「煙突ポートのあるドーム型テント」という選択になったが、これを実現するのはかなり難しかったと言う。

デザイン性が高く形状的に剛性の高いドーム型テントに、火に強いポリコットンの生地で安全性の高いものが作れたら良いと考えていたが、そこには懸念があった。

「ドーム形状だとどうしても地面と平行になる部分のポールに大きな負荷がかかってしまうんです。特にポリコットンの生地だと雨が降って水分を含むと重くなってしまう。そうすると自重でポールが耐えられない。工場からも「やめとけ」と言われました(笑)」

軽くて強度のあるポリコットンの生地は結局見つからなかったので、オリジナルの生地を作るために糸から加工した。

通気性があり、薄くて軽く、シワになりにくい、高密度で耐水圧の高いオリジナルのポリコットン生地。

「薄くて、強度のある耐水圧の高いポリコットン生地って完全に矛盾してますからね。結局糸加工から工夫してオリジナルの生地を作成してもらいましたが、ギリギリのバランスで成り立っている生地だと思います。メーカーだとポリコットンでドーム型のテントはリスクがあるので作らないんじゃないですかね。」

メーカーではできないことをやっていく。

その気持ちがあるからこそ、誰もやったことのないコンセプトの実現に向け、気の遠くなるようなテント製作を続けてこれたのかもしれない。

0/0 neru design worksのこれから目指すもの

モノ作りの圧倒的なこだわりを持つneru design works。
これから目指すべきブランドビジョンを聞いてみた。

「これまでのコンセプトは継続しながら、簡単に真似できないようなモノを作っていきたいと思っています。」

ガレージブランドが乱立する中で、自らのブランドが埋もれないようにするには、他の人が誰も真似できないようなものを作る必要があるとneruさんは言う。

「最近オリジナルのOD缶を作ったんですけど、ガス缶って法律も絡むしハードルが高いのでなかなか作ろうという発想にはならないですよね。更にそこから一歩踏み込んでガスランタンを作ろうとしています。ここまでやれたら簡単には埋もれないですよね。もちろん自分一人ではできないので、協力してくれる仲間あってのモノ作りですが、こういったチャレンジが大事なんだと思います。」

2022年発売「OD230」。neru design worksオリジナルのOD缶。

「あと、コトも大切にしていきたいと思っています。」

巷ではキャンプブームという言われ方をしているが、キャンプをブームで終わらせないために、単にモノを売るだけではなく、できるコトに積極的に取り組んでいる。

「キャンプということをブームで終わらせないためには、単に売るだけではダメだと思うんです。地方のキャンプイベントに参加したり、地方のショップさんと一緒にイベントを開催することでキャンプの裾野を広げていく。キャンプとファッション、キャンプと音楽、キャンプと車、キャンプと食べ物、キャンプをライフスタイルの中に融合させていく。そんなコトがキャンプを文化にしていくんだと考えています。」

最近はキャンプイベントや地方のお店へのポップアップイベントなど、積極的にコトに参加しているという。

第一回 HOKKAIDO MEETING

neru design worksが人々を魅了するのはその独自性とデザイン性の高さに目が行きがちだが、それ以上にneruさんの根底にあるモノ作りへのこだわり、ガレージブランドとしての自分の立ち位置、ブームで終わらせないために先を見据えた商品プランニング、国内産業や地方産業への想い、そういったものが商品に色濃く反映されているからこそ、根強いneru design worksファンを掴んで離さないのだろう。

最後にneruさんはこう言う。

「今までも積み重ねでここまできたので、これからも色々なことを一つ一つ大切に積み重ねていきたいです。」

neru design worksはこれまでと同じようにモノ作りへの探求心を持ち続け、徹底的に追求していく。

そして、誰も思いつかないようなキャンプギアをこれからも生み出して行くのだろう。

Instagramをベースとするキャンプギアガレージブランドの先駆け。 メーカー勤めで感じた限界を、ガレージブランドにしかできないモノ作りで打破すべく、日本の優れたモノ作りの技術をブランドコンセプト・デザインに落とし込み唯一無二のギアを生み出す。 2022年にはオリジナルテント/CAVEを制作し、常にガレージブランドの先頭を行く存在。 製作活動と並行して「TARPtoTARP」とともに2021年にLOGを立ち上げモノ作りの枠を超えた活動を展開中。

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