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ヴィンテージランタンショップ
「viblant」が選ぶ、激レアランタン

ヴィンテージランタンショップ

viblant

2022.6.14

街灯のないキャンプで必ず必要なもの、ランタン。

昨今では便利でオシャレなLED式のランタンも多く売られているが、一度ヴィンテージランタンの世界に足を踏み入れてしまったら、そこから抜け出すのは容易ではない。

充電ができるわけではない。持ち運びには気を遣う。扱いもなんだか難しそう。そんなヴィンテージランタンに、なぜ人は魅せられるのだろうか。

「viblant(ビブラント)」は東京・二子玉川駅より5分程度歩いて小道を入ったところにお店を構える、ヴィンテージランタンを中心としたキャンプギアを扱うアウトドア専門店だ。

オーナーはコールマンで勤務されていた経歴もあり、店内にはコールマンのヴィンテージランタンを中心とした一点もののアイテムが並んでいる。

そんなviblantさんに現在取り扱っているもの、お店の展示品、私物を含めたヴィンテージランタンの中から特にキャンパーの心をくすぐりそうなランタンを3つ選んでもらい、それぞれのランタンについて語ってもらった。

ヴィンテージランタンショップの最高峰「viblant」が選ぶ激レアランタン3点をぜひ堪能して頂きたい。

Chapter

  • 01.

    誰よりもヴィンテージランタンを愛するショップ「viblant」

  • 02.

    現在のランタンの原型となった90年前のランタン

  • 03.

    200Aのようで200Aでない。この赤い彗星の正体は!?

  • 04.

    コレクターの中でコールマンよりも人気が高いと言われているAGMとは

  • 05.

    ヴィンテージランタンに火を灯した

  • 06.

    世代を超えて受け継がれる一生モノを

街灯のないキャンプで必ず必要なもの、ランタン。

昨今では便利でオシャレなLED式のランタンも多く売られているが、一度ヴィンテージランタンの世界に足を踏み入れてしまったら、そこから抜け出すのは容易ではない。

充電ができるわけではない。持ち運びには気を遣う。扱いもなんだか難しそう。そんなヴィンテージランタンに、なぜ人は魅せられるのだろうか。

「viblant(ビブラント)」は東京・二子玉川駅より5分程度歩いて小道を入ったところにお店を構える、ヴィンテージランタンを中心としたキャンプギアを扱うアウトドア専門店だ。

オーナーはコールマンで勤務されていた経歴もあり、店内にはコールマンのヴィンテージランタンを中心とした一点もののアイテムが並んでいる。

そんなviblantさんに現在取り扱っているもの、お店の展示品、私物を含めたヴィンテージランタンの中から特にキャンパーの心をくすぐりそうなランタンを3つ選んでもらい、それぞれのランタンについて語ってもらった。

ヴィンテージランタンショップの最高峰「viblant」が選ぶ激レアランタン3点をぜひ堪能して頂きたい。

誰よりもヴィンテージランタンを愛するショップ「viblant」

店内には数十点ものヴィンテージランタンが並ぶ
viblant二子玉川店の店長、中村さん
今回、ヴィンテージランタンの資料も見せていただいた

今回お話を聞いたのは、viblant二子玉川店の店長、中村さん。

自身もキャンプを趣味としており、販売は元より、海外現地からの仕入れ、メンテナンスもこなす、若くしてオーナーから全幅の信頼を置かれている、ヴィンテージランタンの酸いも甘いも知ったナイスガイだ。

数多くのヴィンテージランタンに触れた中村さんが選ぶ3点。

「3つに絞るのがかなり難しかったです(笑)」

ランタンを少しでもかじった人であれば、見たことがあるようなランタンに思えるかも知れないが、そこはプロショップが選んだランタン。

よくよくそのストーリー、パーツの詳細、生産の背景を聞くと、どれもマニアックなバックグラウンドのある熱いランタンだった。

それぞれのランタンのもつ特徴や歴史的背景を感じながら、是非ともその当時の年代にタイムスリップしたつもりで楽しんで頂けたらありがたい。

現在のランタンの原型となった90年前のランタン

1930年製 Coleman 220B

中村さんが一つ目に選んだランタンはご自身の所有物でもある「220B」。

220Bは人気の200Aの影に隠れてはいるが、現在のガソリンランタンの原型とも言われている。珍しくはあるが1927年から1983年と製造期間が長かったため、それ自体はよく聞くヴィンテージランタンだ。

だが、よくよく話を聞くと、この中村さんの220Bがこれまたマニアックなランタンだった。

まず、製造年は1930年。90年以上前のランタンだがグローブ以外は当時の部品が使われており、今も使える。尚且つ現行の部品との互換性もあるため、90年以上経った今も新品の部品が手に入る。

さらにマニアックな点として、220Bの中でも燃料バルブに付くディレクションディスクがゴールドなものは初期のものだけで、その後はシルバーに変更されているため、通のみぞ知りえるレアな代物だ。

中村さんが購入された3,4年前は2万円台だったこのランタンも、昨今のキャンプブーム、ヴィンテージランタンブームで、現在は15万円近い値段で取引されているという。

2マントルで光量も充分。ソロキャンプからグループキャンプまで幅広く対応する220B。もしどこかで220Bを見かけたら製造年も覗いてみると、思わぬお宝品かも知れないので要チェックだ。

200Aのようで200Aでない。この赤い彗星の正体は!?

1959年製 Coleman 200

中村さんが二つ目に出してきたランタンを見た瞬間、それが200Aだと私は分かった。

「あれ...?意外と普通のヴィンテージランタンが出てきたな。」

思わずガッカリしてしまったがそれは早とちりだった。
実は200Aではなく「200」というモデルだった。

200Aはいまだにコールマンのヴィンテージランタンの中でも一番人気のモデルだが、この瓜二つの「200」が200Aとどこが違うかというと、まず200Aがアメリカ製なのに対し、この「200」はカナダ製であるということ。

さらに言うと製造年月日が底面に刻まれているアメリカ製に対し、カナダ製は側面に刻まれている。覗いてみると「04 59」と刻まれていた。1959年4月製だ。

タンクは通常のアメリカ製だと鉄製なのだが、このカナダ製の200はタンク部分が真鍮製である。真鍮が使われているカナダ製の200は、塗装がはげた部分から真鍮の金色が覗ける。この金色の真鍮部分を見つけて、カナダ製の200だと気付いて興奮しだしたら、あなたももう立派なヴィンテージランタンマニアだ。

真鍮であれば、緑青(ろくしょう)という特有の錆びはあれど、鉄と比べると断然錆びにくい。実際ヴィンテージランタンデビューで200Aを入手した人が、錆びの問題などで次に真鍮製のタンクのモデルを狙うケースは多いと言う。

色目に関しても200Aの赤色と比べると、カナダ製の200はシャア・アズナブルのソレのように赤色が濃い。並べて比較しないと分からないこの微妙な色の違いもマニア心をくすぐる。

さらに着火をすると炎の付きが200Aよりも激しい。一見欠点とも取れるかもしれないが、そのワイルドさもカナダ製の味にも思えてくるから、ヴィンテージランタンは実に味わいが深い。

コレクターの中でコールマンよりも人気が高いと言われているAGMとは

1950〜60年代製 American Gas Machine社 Kamp Lite「IL-11B」

三つ目に登場したランタンは、ぱっと見だとそれがランタンであることすら気付かなそうな、灯りが下向きで上にタンクがある変わった形状をしたものだった。

こちらのランタン、どこのメーカーのものかと言うと、通の間ではAGMと呼ばれるアメリカンガスマシン社製のものだ。AGMは1903年に創業し、その後1940年に倒産するも、QUEEN STOVE WORKS社が買収、最終的にはサーモスの傘下に入ったが、1968年に惜しまれつつもその幕を閉じてしまった。

AGMのランタンはアメリカのヴィンテージランタンコレクターの間では、コールマンよりも人気が高いと言われている。

その中でもこの逆さランタンは1950〜1960年代製のKamp Lite「IL-11B」というモデルで、市場でも数が少なくかなり希少なモデル。

上にぶら下げて下を照らすその構造は実は実用的で、通常の上向きに比べると本当に明るい。

下に火をつけて上にガソリンがあるため、少し注意が必要だ。
ガソリン漏れの可能性もゼロではないが、その辺りの構造は考えられていて、ガソリンの入れられる量を少なく済むようにして、炎上の危険性を抑えている。

実はサーモス、コールマンでも逆さランタンのタイプのものは存在はするが、コールマンに至っては現在世界に一つしか確認されていなく、幻のランタンと言われている。(過去にアメリカのコールマンミュージアムに寄贈されて展示されたことがあるらしい)

数多いるランタン好きの中から一歩抜きん出るにはもってこいのAGM、アメリカンガスマシンのKamp Lite。この辺りをさらっと商品棚に陳列してあるviblantさんはさすがだと思った。

ヴィンテージランタンに火を灯した

中村さんにそれぞれのランタンに火を灯してもらった。

実際にランタンに火が入ると、その光の力強さの奥にある柔らかい炎の優しさに歳月の流れを感じることが出来た。

どれもガソリンランタン特有の音と共に力強く着火する。
眩しすぎる灯りからさらにポンピングをし、バルブを調整すると、灯りはすぐに安定し、周囲を明るく照らしてくれた。

世代を超えて受け継がれる一生モノを

ヴィンテージランタンと聞くと扱いが難しく、メンテナンスも大変そうなイメージを持つ方も多いかも知れないが、実際は構造がシンプルで現在も大きく変わっていないことから、正しい知識があればメンテナンスはし易いといった側面もある。

使われている部品も真鍮であったりと今のものよりも良い材質のものを使っていたりもする。

バッテリーが劣化してしまい、いつかは使えなくなってしまうLEDランタンと違い、ガソリンなどの燃料を使ったヴィンテージランタンは、メンテナンスさえしっかりしていれば100年だって使えたりする。

親から子へ、子から孫へ。大切に使われたランタンは世代を超えて受け継がれていく。

ヴィンテージランタンにとって大事なことは、そのランタンが刻んできた歴史を感じ、自分のもとにやってきた意味を考え、それをいかに次の世代に受け継いでいくかということなのかも知れない。

今回、希少なヴィンテージランタンに触れ、そのヴィンテージ特有の使用感は様式美も合間って素晴らしいものだったが、何よりもその裏側にある歴史やストーリーを知れば知る程、その灯りに引き込まれていく不思議な感覚に陥った。

ヴィンテージランタンを愛し、ヴィンテージランタンに愛されたショップ「viblant」。

是非ともまだ行ったことのない方は一度訪れて、ランタンを見ながらタイムスリップしてほしい。

viblantオリジナルのランプを開発中だということをこっそり教えてもらった。

東京・二子玉川と名古屋の2店舗でコールマンやティリーなどヴィンテージ・ランタンを中心としたオイルランプやオリジナルアウトドアグッズを販売する。
ヴィンテージ製品はアメリカ・カナダを中心にイギリスやドイツなどからもレアなモデルを輸入し、すべて分解・洗浄などのオーバーホールを行い、燃焼テストをして販売をしている。現行モデルにはないデザインやカラー、年代物ならではの味わいなど基本的に1台限りのランタン・バーナーとの出会いを楽しむことができる。
また、ランタンだけでなく、様々なキャンプのシーンで使えるオリジナルアウトドアグッズも企画・販売しているほか、キャンプイベント運営・アウトドア事業のアドバイスなど、多岐にわたり、事業を展開している。

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