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Column

焚き火マイスター・猪野正哉の
4K焚き火動画

焚き火マイスター

猪野 正哉

2022.6.7

焚き火に魅せられる人は多い。

空前のキャンプブームで焚き火は人々の身近なものになってきている。

揺らめく炎を見て、日常の疲れ、ストレスから解き放たれ、人は少しの間、癒されている。

猪野正哉。元モデル、アウトドアコーディネーター、たき火ヴィレッジ〈いの〉の運営・管理、アウトドアライター等、異色の経歴を持つ彼のことを人はこう呼ぶ。

「焚き火マイスター」と。

焚き火に魅せられ、焚き火を仕事にした焚き火マイスターは一体どんな焚き火をするのか。

焚き火マイスター猪野正哉が焚べる極上の焚き火を4Kの最高画質でたっぷり1時間ワンカットで撮影した。

SPURKS×猪野正哉のここだけの至極の焚き火動画をぜひ堪能して頂きたい。

Chapter

  • 01.

    焚き火マイスター・猪野正哉とは

  • 02.

    焚き火マイスター・猪野正哉の至極の4K焚き火動画

  • 03.

    若い頃は好きになれなかった「たき火ヴィレッジ〈いの〉」

  • 04.

    焚き火は万能のコミュニケーションツール

  • 05.

    He is a Bonfire Meister

焚き火に魅せられる人は多い。

空前のキャンプブームで焚き火は人々の身近なものになってきている。

揺らめく炎を見て、日常の疲れ、ストレスから解き放たれ、人は少しの間、癒されている。

猪野正哉。元モデル、アウトドアコーディネーター、たき火ヴィレッジ〈いの〉の運営・管理、アウトドアライター等、異色の経歴を持つ彼のことを人はこう呼ぶ。

「焚き火マイスター」と。

焚き火に魅せられ、焚き火を仕事にした焚き火マイスターは一体どんな焚き火をするのか。

焚き火マイスター猪野正哉が焚べる極上の焚き火を4Kの最高画質でたっぷり1時間ワンカットで撮影した。

SPURKS×猪野正哉のここだけの至極の焚き火動画をぜひ堪能して頂きたい。

焚き火マイスター・猪野正哉とは

焚き火マイスター・猪野正哉さん

なぜ猪野さんが焚き火マイスターと呼ばれるようになったのか。

「いまだに自分で名乗るのは恥ずかしいです。笑」

猪野さんが焚き火マイスターと呼ばれるようになった経緯を語るには、少し遡る必要がある。

オーディションで3,000人以上の応募者の中から合格し、見事メンズノンノの専属モデルとなった猪野さん。

2年間の専属期間を終え、その後独立し、モデル業をこなす傍ら、ファッション雑誌でライターとして執筆活動もしていた。

その後、27歳の時にモデル時代の先輩とアパレルブランドを立ち上げることに。

誰もが羨む順風満帆な人生だが、事業はうまくいかず、ブランドの経営は徐々に傾き出し、結果として、多額の借金を背負うことになってしまった。

猪野さんは人間不信に陥り、徐々に塞ぎ込んでいくように…。

そんな失意の中、モデル仲間に誘われて出会ったのが、山登りだった。

あまり気乗りはしなかったが、実際山登りに行ってみると、全てを忘れることが出来るくらいの気持ち良さがそこにはあった。

山登りにのめり込み、キャンプも始めるようになった。

一度全てを失った猪野さんが、山登りを始めたら、過去の経験が生き、山雑誌のモデル、ライターの仕事等が徐々に舞い込んできた。

ライターの仕事をしていく中で、お世話になっていた方に「焚き火を仕事にしてはどうか」と提言され、たき火ヴィレッジ〈いの〉を整備することから始めた。

とは言え、再び華やかな表舞台に戻ることに抵抗があった猪野さん。

最初は半分冗談でプロフィール欄に「焚き火マイスター」と書いていたが、徐々に焚き火の仕事が増えていった。

そんな動き出しながらも悶々としていた彼が、再び脚光を浴びる出来事が起きる。

「マツコの知らない世界」へのTV出演だ。

全国ネットで焚き火マイスターとして「焚き火の魅力」を存分に語ったその回は大きな反響を呼び、焚き火マイスター・猪野正哉の名は一挙に全国区に知れ渡った。

焚き火マイスター・猪野正哉の至極の4K焚き火動画

焚き火4K動画。ぜひフルスクリーン/4K画質で再生いただきたい。※4K再生はPCのみ。

焚き火マイスター・猪野正哉が焚べる焚き火は一体どんな焚き火なのだろうか。

そんな思いから今回猪野さんにたっぷり1時間焚き火をしてもらい、その様子を定点ワンカットで撮影した。

撮影場所は猪野さんのホームグラウンドであるたき火ヴィレッジ〈いの〉。

現在直火禁止のキャンプ場が増え、焚火台を使った焚き火が当たり前になっている中、今回直火での動画にしたのには訳がある。

炎の立ち上がりが、直火の方が美しいからだ。

まるで大地の力を炎が吸い上げているように、大空に向かって燃え盛っていく。

燃え盛った炎の様子も美しいが、後半に差し掛かるにつれ、徐々に熾火に変わっていく様子も何とも見惚れてしまう。

今回、4K動画と画質にも拘っているため、是非ともフルスクリーンで極上の焚き火を体感してほしい。

お酒と少々のツマミを用意して頂ければ、目の前で焚き火をしていると錯覚してしまうかも知れない。

若い頃は好きになれなかった「たき火ヴィレッジ〈いの〉」

今回取材で訪れた猪野さんのホームベース「たき火ヴィレッジ〈いの〉」。

一般開放はしておらず、今は主にキャンプ番組のロケや雑誌の撮影地、ワークショップなどのイベント向けに猪野さん管理の下、使用されている。

都心からのアクセスも良く、一度敷地に入ると都会の喧騒から離れ、焚き火好き、キャンプ好きには堪らない環境だ。

たき火ヴィレッジ〈いの〉は杉林といったわけではなく、様々な木が生えている。

理由を聞くと、元々、造園業を営んでいた猪野さんのお爺さんが持っていた土地で、その時植えていた苗が、お爺さんが亡くなって数十年が経ち、久々に来てみたら、みんな立派な木へと成長していたそうだ。

猪野さんは思春期の頃、この地元があまり好きでなかったそうだ。

「この中途半端な田舎が好きじゃなくて、早く東京に出たかったですね。笑」

モデル時代華やかな世界に身を置き、アパレルブランドを立ち上げ、借金や工場勤務を経て、猪野正哉は今、この地で仕事をしている。

年齢を重ね、色々な経験を経て、若いころはあまり好きではなかった、山登りやキャンプだったが、その魅力に魅せられ、結果として彼は「焚き火マイスター」になった。

焚き火マイスターとして生まれ育ったこの地に帰ってきて、開拓・整備していく内に気付けば猪野さんにとって心の安らぐ素晴らしい基地となっていった。

焚き火は万能のコミュニケーションツール

猪野正哉にとって焚き火とはなにかを聞いてみた。

「コミュニケーションツールですね」

猪野さんが借金をした際、親に呼ばれた。

「家でも良いのに」と思ったが、焚き火を囲むことによって、目を合わせなくても会話が成立した。

火を介すことで言いづらいことも伝えられたのだ。

一人で焚き火をしていても寂しくはならず、友人と囲めば場は和み、初めましての人との距離を縮めることも、焚き火があれば可能だと。

アウトドアにおいて猪野さんが考える一番大切にしていることは何なのか。

「諦めが肝心ですね。笑」

自然を相手にしていると自分ではどうしようもないことばかりが起きる。

山登りで立ち止まったり、座り込んだり、振り返ったりすることで、人生においても、立ち止まることの大切さを学んだ。

諦めないことではなく、諦めること。

風が強ければ無理に焚き火はしない。

悪天候であれば、無理にキャンプをしない。

猪野さんと話していて感じた、力の入っていない自然体であるところや、その潔さは、焚き火を重ねることや自然を相手にすることで培われたものなのかも知れない。

He is a Bonfire Meister

猪野さんに今後やっていきたいことを聞いてみた。

「焚火台を使ったりした日本の焚き火文化をもっと世界に広められたら。」

海外でももちろん焚き火はされている。だがそれは本当に体を温めるためのものであって、日本のようにキャンプだけを目的に行って、焚火台で焚き火をする文化は実は意外とない。

以前、海外のアウトドアブランドが取材で、たき火ヴィレッジ〈いの〉を訪れた際、アメリカ人の撮影クルーに「He is a Bonfire Meister」と紹介され、日本のような焚き火文化のないニューヨーカーに「火の達人!?」と苦笑いされたという。

今では様々な場所やイベントでたき火マイスターとして焚き火の魅力を幅広い世代にレクチャーしている猪野さんだが、初めて2017年にワークショップの講師として焚き火のレクチャーをしたその時の参加費の1,000円は今でも大切にとってあるらしい。

華やかな世界も、そうでない世界も体験し、人から持ち上げられて天狗になっていたこと、借金をして人間不信に陥ったこと、その両方を経験した猪野さんにとって、この1,000円は初心を忘れないために、自分を見失わないために大切なものだと言う。

「5年後には自分が焚き火マイスターでなくなっていても構わない」

それくらい焚き火が一般化し、マイスターの指導がなくとも誰しもが身近に焚き火ができる環境を焚き火マイスターは一番望んでいるのかも知れない。

焚き火マイスター/日本焚き火協会会長/アウトドアプランナー/モデル。主に雑誌のライティングやディレクションをし、テレビやYouTubeでは焚き火監修を行う。過去にはTBS「マツコの知らない世界」に焚き火の世界の達人として出演し、フジテレビ「石橋、薪を焚べる」「VS魂」で監修を務めた。また各地のキャンプイベントでは焚き火ワークショップの師として活動中。著書に『焚き火の本』(山と溪谷社)や『焚き火と道具』(同社)がある。

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