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Campsite

ありのままの自然が残る
伊豆・修善寺「CAMP BEAN」で
極上の野営を

伊豆・修善寺キャンプ場

CAMP BEAN

2023.5.16

1200年の歴史を持つ伊豆の小江戸、修善寺にブッシュクラフターなどのコアなワイルドキャンパーが集まるキャンプ場がある。

人気キャンプ系YouTuberの伊豆のぬし釣りの動画のロケ地としてもしばしば使われ、訪れたことがない人でも、キャンプ好きなら目にしたことがある景色かもしれない。そのキャンプ場の名は伊豆にちなんで名付けられた「CAMP BEAN」だ。

電気もない、水道もない。そんな吉幾三を彷彿とさせるお世辞にも高規格とは言えないキャンプ場ではあるが、訪れるキャンパーを病みつきにさせるその不思議な魅力から「極上の野営地」と称されることも多い。

CAMP BEANオーナーの斉藤さんは話してみると、物腰の柔らかい、キャンプ愛に溢れたユーモラスな人だ。

今回は斉藤さんにキャンプ場の案内をしてもらい、集いの場CAMPERS SALOONで常連さんを交えて話を聞かせてもらった。

CAMP BEANで一度キャンプをしたら、あなたはもう普通のキャンプでは物足りなくなってしまうかも知れない。

Chapter

  • 01.

    CAMP BEANで自然を体全体で感じる

  • 02.

    CAMP BEANの醍醐味「Bushcraft」と「直火」

  • 03.

    CAMPERS SALOONに集う焚き火好きたち

  • 04.

    自然そのままの豊かな森で極上の野営を

1200年の歴史を持つ伊豆の小江戸、修善寺にブッシュクラフターなどのコアなワイルドキャンパーが集まるキャンプ場がある。

人気キャンプ系YouTuberの伊豆のぬし釣りの動画のロケ地としてもしばしば使われ、訪れたことがない人でも、キャンプ好きなら目にしたことがある景色かもしれない。そのキャンプ場の名は伊豆にちなんで名付けられた「CAMP BEAN」だ。

電気もない、水道もない。そんな吉幾三を彷彿とさせるお世辞にも高規格とは言えないキャンプ場ではあるが、訪れるキャンパーを病みつきにさせるその不思議な魅力から「極上の野営地」と称されることも多い。

CAMP BEANオーナーの斉藤さんは話してみると、物腰の柔らかい、キャンプ愛に溢れたユーモラスな人だ。

今回は斉藤さんにキャンプ場の案内をしてもらい、集いの場CAMPERS SALOONで常連さんを交えて話を聞かせてもらった。

CAMP BEANで一度キャンプをしたら、あなたはもう普通のキャンプでは物足りなくなってしまうかも知れない。

CAMP BEANで自然を体全体で感じる

CAMP BEANは森の中にあり、極力自然そのままの姿が残されている

CAMP BEANは2020年2月に伊豆の修善寺にオープンした。
伊豆縦貫道の大平ICから10分程度、都心から2時間程度とアクセスも良い。

山道に入りヒノキ林を抜けるとそこにCAMP BEANはある。
標高約300mの山の頂上付近に位置するキャンプ場にはクヌギ、コナラ、ヤマザクラなどの広葉樹が生い茂り、鹿や猪、アナグマなど様々な動物が生息している。

約5000坪の広大な敷地の中に20弱のサイト数しかないため、隣のキャンパーとの距離も保つことができ、自然の中で贅沢な時間を過ごすことが可能だ。

キャンプ場の中心部にある、受付兼CAMPERS SALOON

サイトは大きく分けて4つ。敷地の入り口付近にある、管理棟や簡易トイレが近い「East Valley」サイト。南側斜面に段々にサイトが設けられた、富士見サイトを有する「Hillside」サイト。北側の場内の砂利の坂道を登っていった先にある「North Hill」サイト。ジムニーなどの小型の四駆車でないと横付けは難しいが周囲を木々に囲まれたブッシュクラフトを存分に楽しむことができる「Bush Site」だ。

富士山を眺めながらブッシュクラフトに興じられる人気の富士見サイト

上のエリアにプラスして、リピーター向けに設けられた大きなヒメシャラの木がある広めな「ヒメシャラ」サイト。春になると眼前に綺麗なヤマザクラが咲く「ヤマザクラ」サイト。より深いブッシュクラフトを楽しみたい人向けの「Bushcraft Area」などがあり、それぞれ表情の違ったサイトがCAMP BEANを構成している。

小高い位置にあるNorth Hill、Bush Siteを有する人気の北側エリア。

CAMP BEANの森は極相林と呼ばれる森林だ。木には陽樹と隠樹というものがあり、日向を好む陽樹の下に日陰を好む隠樹が生える。隠樹の下には陽樹は生えないため、また隠樹が生える。そうして年月を掛けて植生が安定した状態に達した森林を極相林と呼ぶ。

簡単に思えるかも知れないが、裸地から極相の森林になるまでは200年〜500年かかると言われている。一度極相に達した森は、仮に木が朽ちたり自然災害などで部分的なダメージが起きても、豊かな土壌を元に自己修復し、大きな変貌を遂げず、極相林を維持すると言われている。

修善寺は歴史の深い街だ。それは長い間地形的にも守られた場所であることを意味する。そんな歴史が培った極相林に囲まれたCAMP BEANでキャンプをしていると、人工林とは違った落ち着いた気持ちに不思議となり、ひとたび腰を下ろすと立ち上がるのも億劫になってしまう。

CAMP BEANの醍醐味「Bushcraft」と「直火」

CAMP BEANの醍醐味、ブッシュクラフトの名残が場内に点在しています

CAMP BEANの魅力はなんといっても、敷地内に豊富にある自然の木材を使ったブッシュクラフトが挙げられるだろう。前のキャンパーが作っていった風防やファイヤーピットが残されていることも多く、それらをそのまま使うことも可能だ。

中には、もはや住居と呼んだ方が良いのではないかというほどの作品を何日もかけて作り上げてしまった常連さんもいる。もちろんどのサイトで何を作っても良いわけではなく、オーナーさんとの相談が必要だが、拠点作りというか秘密基地作りというか、子供の頃の夢のような体験がリピーターになればここでは出来る。

常連さんが何日もかけて作った力作が見れるのもCAMP BEANの楽しみの一つ

直火不可のキャンプ場がほとんどになってきている最近のキャンプ場事情に反して、どのサイトも直火が可能になっているため、静寂の森の中で思いっきり直火を楽しむことも出来る。

斉藤さんは「太古の昔から人類が火を愉しんできた焚き火本来の姿」と直火に対するこだわりも強い。

CAMP BEANでは薪に関しても上質な広葉樹が割安で販売されているため、焚き火好きもきっと満足な焚き火を存分に楽しめるだろう。

CAMP BEANサバイバル四天王の1人、野人さんが作った圧巻のシェルターは必見

CAMPERS SALOONに集う焚き火好きたち

CAMPERS SALOONは訪れる焚き火好きたちの集いの場となっている

CAMP BEANの管理棟には「CAMPERS SALOON」と名付けられた訪れたキャンパーの集いの場がある。驚くべきことにこのスペースを斉藤さんは重機などを使わずに、この地のヒノキの木を間伐し、皮を剥き、削り、重ねて、2年がかりで作った。

このサロンスペースがCAMP BEANに魅了されたキャンパーの集いの場になり、週末などはバーなどのイベントも催され、交流の場となっている。

北側サイトから見下ろしたCAMPERS SALOONの様子

週末は特に盛り上がっているので、初めてだと入りづらさもあるかも知れないが、初見の方もウェルカムな雰囲気で中に入り焚き火を囲むと、気付いたら輪に入って打ち解け、時間が経つのを忘れてしまうから不思議だ。

「サロンに来ると『キャンプが出来なくなる』と言う常連さんもいます。焚き火もご飯もここで完結してしまうので(笑)」

サロンで焚き火トークで盛り上がってもいいし、もちろん自分のサイトでしっぽりと焚き火に興じても良い。

斉藤さん自身もキャンプ場を開拓する前、キャンプではソロで「自然との対話」を愉しんでいたので、そんなソロキャンパーの気持ちもよく分かると言う。

CAMP BEANは訪れたキャンパーがそれぞれ自由に快適な時間を過ごすことを望んでいる。

自然そのままの豊かな森で極上の野営を

木が豊富なためハンモックを張る場所にも困らない

斉藤さんが理想とするキャンプ場は「そこにいて動きたくなくなるようなキャンプ場」だ。斉藤さんは初めてこの地を訪れた時、藪だらけで車が一台停められるかどうかだったが、その心地良さから、ここでキャンプ場をやっていくことは可能だと直感的に感じたらしい。

キャンプ場には2023年5月現在、電気、水道は引かれていない。
今でこそそういった「不便を楽しむ」開拓中のキャンプ場も出てきたが、斉藤さんがCAMP BEANをオープンした2019年はまだそういったキャンプ場はなかった。

斉藤さんはこのままの状態でオープンして、何を売りにして行こうか考えた際に、やはりこの地の魅力は自然がそのままに残されたこの豊かな森だと思った。

木々に囲まれ自然と向き合う時間は何ものにも代え難い

木は沢山ある。当時はまだ「ブッシュクラフト」とネットで検索しても少し画像が出てくる程度ではあったが、ここならそういったことも可能だと思い、「ブッシュクラフトが出来るキャンプ場」としてCAMP BEANをオープンすることにした。「ブッシュクラフト」を前面に打ち出したキャンプ場はおそらくここが日本で初めてだ。

(左)管理人さん、(右)オーナー。二人三脚でここまで開拓してきた絆は深い

CAMP BEANのことをあまり知らない、普通のキャンプ場に行き慣れた人が訪れてびっくりしないよう、予約には「合言葉」が設けられており、予約するにも一手間ある。ただ、この一手間のおかげで、混雑したキャンプ場に疲れたキャンパーさんや、玄人のキャンパーさんが好んで訪れるようになり、その人たちが今のCAMP BEANの雰囲気を作ってくれた感じがすると斉藤さんは言う。

斉藤さんは話してみると分かるが、脱力系と言うか、一見するとやる気がないようなことを冗談混じりに喋り続ける。実際今回のインタビューも前半はほとんど最近ハマっているルービックキューブの話だった(笑)。

インタビューの前半1時間はルービックキューブの話をしていたオーナーの斉藤さん

サロンにも多くの人が出入りし、インタビューはしばしば中断し、気づけば私も常連さんに混じってケタケタ笑いながら盛り上がっていた。

本来であればキャンプ場の開拓の経緯であったり、苦労話や、良い話を引き出すのが私の仕事であるが、この森の中で焚き火を囲みながら、生粋のキャンプ好きの人たちと話していたら、なんだかそれも無粋というか、どうでもいいことのように感じて、諦めた(笑)。

春先には満開のヤマザクラの目の前でキャンプをすることも可能(提供:CAMP BEAN)

「開拓当初は女の子が集まるオシャレなキャンプ場にしたいと思っていたんです(笑)」と斉藤さんは常連さんを前に言うが、斉藤さんが惚れ込んだこの場所を、同じように好きになって通ってくれている常連さんへの感謝の照れ隠しだろう。

リピーターの人たちはCAMP BEANの雰囲気はもちろん、そんな斉藤さんの人柄に惹かれて通い続けている人も多い。

まだCAMP BEANを訪れたことがない人も、ここに来れば、新しいキャンプの世界が広がるかも知れない。
もしかしたらキャンプの本質が分かるかも知れないし、キャンプが何か分からなくなるかも知れない(笑)。

今のキャンプのスタイルに何か物足りなさを感じていたり、より自然をダイレクトに感じたいキャンパーさんはぜひ一度伊豆・修善寺のCAMP BEANを訪れてほしい。

看板犬のモミジちゃん。照れ屋のモミジちゃんが懐いたらあなたも立派な常連さん

2018年6月、伊豆・修善寺にある標高約300mの山の頂上付近に位置する山林を購入。
東京でサラリーマンを続けながら開拓し、2020年2月に開拓中のキャンプ場としてオープン。
伊豆の「豆」にちなんでCAMP BEANと名付ける。
2022年2月、サラリーマンを辞めて修善寺に移住し、しっかりと息づく森の中で、自然の楽しさや厳しさに触れ合えるキャンプ場を目指し、日々開拓をしている。

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