SPURKS

Life Style

背伸びをせず自分のペースで。
MIKIさんの山形移住ライフ

アウトドアショップスタッフ

MIKI

2022.6.28

リモートワークが普及したことをきっかけに、都心から離れた場所に移住する「地方移住」が注目されている。

移住とまではいかなくとも、平日は都市部で働き、週末は田舎の拠点でリラックスする「二拠点生活」も、最近の働き方の多様化も後押しし、一般的になってきて、誰もが気軽にデュアルライフを楽しめる環境になってきた。

とは言え、なかなか決断できない地方移住や田舎暮らし。

今回は山形に暮らし、山形を代表するアウトドアショップ「DECEMBER」のスタッフでもあり、最近では住宅メーカーのインテリアプロデュースもこなす、人気インスタグラマーのMIKIさんにお話を聞き、スローライフや山形での暮らしについて語ってもらった。

MIKIさんの山形での素敵な暮らしを覗くことで、なにか「移住」「田舎暮らし」「二拠点生活」など、皆さんの今後のライフスタイルのヒントにしていただきたい。

Chapter

  • 01.

    身の丈に合った暮らしは地元山形にあった

  • 02.

    作り手の顔が浮かぶ家具に囲まれて

  • 03.

    ロクマルとせんせーとの出会い

  • 04.

    季節の移り変わりを目、耳、食で楽しむ

  • 05.

    移住はゴールではなくスタートだった

リモートワークが普及したことをきっかけに、都心から離れた場所に移住する「地方移住」が注目されている。

移住とまではいかなくとも、平日は都市部で働き、週末は田舎の拠点でリラックスする「二拠点生活」も、最近の働き方の多様化も後押しし、一般的になってきて、誰もが気軽にデュアルライフを楽しめる環境になってきた。

とは言え、なかなか決断できない地方移住や田舎暮らし。

今回は山形に暮らし、山形を代表するアウトドアショップ「DECEMBER」のスタッフでもあり、最近では住宅メーカーのインテリアプロデュースもこなす、人気インスタグラマーのMIKIさんにお話を聞き、スローライフや山形での暮らしについて語ってもらった。

MIKIさんの山形での素敵な暮らしを覗くことで、なにか「移住」「田舎暮らし」「二拠点生活」など、皆さんの今後のライフスタイルのヒントにしていただきたい。

身の丈に合った暮らしは地元山形にあった

MIKIさんが地元山形に移り住んだのは今から6年前で、それまでは夫婦で東京に住んでいたそう。

東京でのライフスタイルは、ライブやフェスに通い、おしゃれなカフェに行って写真を撮ったり、服を買ったりと、都会の生活をひととおり満喫。ある日アウトドア好きなご主人に連れられて行ったキャンプにまんまとハマり、それから「休みがあればキャンプに行ってました(笑)」というライフスタイルになっていった。

次第に夫婦で家を建てようという話になり、はじめは、東京郊外で土地を探そうとしたが、「本当に住みたい街ってどこだろう」「身の丈にあった暮らしができるのはどこだろう」と考えるようになり、ふたりともアウトドアが好きで、自然を身近に感じられる地元の山形が、本当の理想の場所なのではないかと話し合い、ちょうど30歳という節目ということもあって、Uターンを決めたそう。

都会暮らしの便利さも知って、迷いはありませんでしたか?

「移住を決めた時は、期待しかありませんでした。自然を身近に感じられるということももちろんですが、近くにいた友人たちが飲食店やお花屋さんなど、事業を起こしていた影響も大きいです」

そのとき山形では学生たちが主体となって、新しいことにチャレンジしながら街を盛り上げていることも知っていたので、MIKIさんはその山形の街を一緒に楽しめるんだとワクワクしたそう。

実際、山形に移住してみてどうでした?

「山形に移住してからも、そして6年経った今もワクワクした気持ちは変わりません。夫や友人たちのおかげで、登山や山菜採り、川釣りなど自然の遊び方も増えて、毎日がとっても楽しいです!その場で採った食材を友人や家族たちを招いて一緒に食べたり、休日の過ごし方も東京にいるころよりも私たちらしいライフスタイルになったと思います。」

山形の寒い冬も、蔵王にスノーボードをしに行ったり、ワカサギ釣りをしたりして、MIKIさんは見事に冬の山形ライフを楽しんでいる。

「釣ったワカサギを天ぷらにして日本酒をクイっと…最高です。家では、かまくらや、雪灯籠を作ったりと、子どものように冬を楽しんでいます(笑)」

オススメの日本酒はありますか?

「山形の秀鳳の特別純米酒『酔いどれジョージ』というお酒が香りも良くてキレもあり、お肉にもお魚にも抜群に合います。キャンプで飲みたい日本酒です!」

と強めに返ってきた(笑)。

「秋田の『飛良泉 氷結生酒』は夏に飲みたくなるお酒です。凍らせてシャーベット状にして飲むお酒で、爽やかな香りと旨味があって、我が家では毎年の楽しみになっています!」

この人、お酒が好きだ(笑)。

作り手の顔が浮かぶ家具に囲まれて

ご自宅は、山形の中心部に近いながらも綺麗な山々が望めるという、景観の良い場所にある。

2階から蔵王や月山の山並みが見え、家の横の川沿いは春になると桜並木がとても綺麗な場所だ。

MIKIさんは植物が好きなので、家の中でも植物が元気に育つように、どこにいても光が差し込む明るい家にしたいと窓の位置や大きさにもこだわった。

「『人の集う家』にしたいと考えていたので、誰が来ても落ち着けるように、キッチンやリビングは広めにし、温かみのある木の素材を多く使いました。理想のカタチが合致していたようで、夫ともぶつかる事なくスムーズに打ち合わせも進み、特に苦労した点はありませんでした」

インテリアに関しても、ダイニングのテーブルは大工の友人が作ったもの。棚などは、ご主人がDIYで作ったものが多いそう。

「そんな家具を使っていると、作った友人や夫の顔が浮かぶので愛着もひとしおです」

家具を選ぶときの基準は「長く一緒に歳を重ねられるもの。」

リサイクルショップや古道具屋さんが好きなMIKIさんは、レジ横でおじいさんやおばあさんがストーブを囲んでお茶をしているような金物屋さんで掘り出し物を探したり、民芸品を扱うお店を巡ったり、旅行本にも載っていないような昔ながらの道具屋さんにも入ったりもするそう。

「お店の方とたわいもない話をしながら、そのモノについて教えていただき購入する。そうすると心も温かくなって、そのモノひとつひとつにエピソードが生まれ、ずっと大切にしようという気持ちになっています」

木工職人の友人「土澤木工」さんに作ってもらった世界に一つだけのキッチンカウンターは、MIKIさんの宝物だ。
作業部屋にはご主人がDIYで作った作業テーブルが。ご主人はフライの毛鉤を巻いたり、MIKIさんは仕事やレザークラフトをしたり、思い思いの時間を過ごしている。
ご家族と同居しているので、メインリビングの他にも夫婦でくつろげるリビングも作った。

ロクマルとせんせーとの出会い

乗り始めて7年目になる平成元年式のランドクルーザー60(通称ロクマル)

ちょうど山形に戻る話が出始めた時、地元では車を持たないと移動できないので、車も考えないと…と夫婦で話をしていたらご主人が「せっかく乗るなら、積載量もあってアウトドアに最適な車がいい!60に乗りたい!」と。そこからMIKIさん夫婦の60探しが始まった。

運がいいことに探し始めてからすぐに、たまたま見に行った車屋さんで、ベージュカラーの60を発見。状態も良く、前のオーナーさんがとても大切にしていた様子も伺え、その日のうちに購入を決めたという。

ベージュのボディーカラーはもちろんのこと、レトロな内装もこの60のお気に入りのポイントだと言う。

昔、お爺さんがミニキャブトラックに乗っていて、その大きめのエンジン音が近づくと家の外に出て祖父が来るのをワクワクしながら待っていたMIKIさん。 そんな懐かしいことを思い出させてくれる大きめのエンジン音がとても好きだという。

車中ではD.A.N.、Tempalay、EVISBEATSなど、耳に残る声、中毒性のある音楽を好んでよく聴く。他にもSIRUP、Vaundyなどテンションが上がる音楽を車中で聴く事が多いようだ。

体の小さい女性が大きいランクルに乗ることへの怖さはなかったですか?

「初めは本当に怖かったです!」

軽自動車しか所持した事がなかったMIKIさんだが、実際に乗ってみると、高さもあることから周りを見渡しやすく、注意しながら乗るのでとても安全に乗れているようだ。今は旧型の日産サファリやジムニーのJA12やJA22の旧型に憧れていて、いつか乗ってみたいそう。

せんせー(3歳・サバシロの女の子)

MIKIさんを語る上で外せないのがせんせー(3歳・サバシロの女の子)の存在だ。

ある時、車で信号待ちをしていたら、前に停まっていた車のタイヤの脇に、動くもふもふしたものがいた。運転していたご主人が咄嗟に「あれ絶対子猫だから、助けてきて!」と。

急いでそのもふもふを拾い上げて、近くの安全な場所まで移動した。目がグジュグジュとしていて前が見えていない様子の手のひらサイズの子猫。まわりに親猫の気配もなく、弱っていた事もあり、連れて帰る事にした。

家も建て、猫を迎えるには本当にちょうど良いタイミング。同居家族にも相談して、その日からせんせーはMIKIさん家の家族となった。

せんせーが家族の一員となってとにかく家族の笑顔が増えたという。ふとした事で笑わせてくれたり、ゆるい寝顔に癒されたり。泊まりのキャンプや旅行にはなかなか出掛けられなくなったが、そんなせんせーファーストの生活も幸せそうだ。

常にMIKIさん家族と一緒にいるせんせー。部屋を移動してもどこにでもついてきて同じ空間で過ごす。寝る時も一緒。寒いと2人の間に入ってぴったりとくっついて眠る。

「女の子なのに、いびきはおじさんのようですが笑、そこもまた可愛いです。」

季節の移り変わりを目、耳、食で楽しむ

約30年前のロッジテント。ご主人とオークションなどを小まめにチェックしているそう。
とある春のキャンプ飯。オススメはダッチオーブンに盛られた「丸めないハンバーグ」

MIKIさんのライフスタイルは元より、そのお洒落なキャンプスタイルを参考にしている人も多い。

キャンプ歴は9年。初めて行ったキャンプは、バックパック一つで電車と徒歩で行ったそうだ。

初めてのキャンプはどうでした?

「荷物は重くて肩は痛いし、キャンプ場には全然辿り着かないし、もう一生行かない!と思いながら歩いていました(笑)」

そんな辛い思いをしたキャンプも、外で過ごす開放感と、外で食べるご飯の美味しさに感動して、気付けばハマってしまっていた。

キャンプをする上で大切にしていることはありますか?

「自然に場所をお借りしているので、まずはその空間を楽しむこと。そして不便を楽しむように心がけています」

MIKIさんのキャンプでの好きな過ごし方は「昼寝や読書」。

家でもできることだけど、自然を感じながら無になる時間を作ることはキャンパーにとって理想の在り方なのかもしれない。

山形でおすすめのキャンプ場はどこですか?

「私が好きなのは、白川ダム湖畔オートキャンプ場です。4月中旬から5月中旬頃の1ヶ月は、白川湖に雪解けの水が流れ込み、満水になります。この時期だけ、木々が幹まで水に浸かり幻想的な水没林の中で、カヌーやSUPを楽しむ事ができるんです!」

実はMIKIさんはインドア派でもある。

家で映画を見たり、のんびり窓の外を眺めながらコーヒーを飲んだりする事が好きで、本当はできるだけ外に出たくないというが、天気が良い日だとやはりそわそわすると言う。

「今日は山の頂上から見える景色がきれいだろうな、とか、外でお昼寝したら気持ちいいだろうな、とか。せっかく環境の良い場所で生活しているのだから、山形の自然を楽しまないともったいない!と言う気持ちになってしまうんです。」

自然が好きなインドア派といったところだろうか。笑

MIKIさんは、四季それぞれの自然の景色や、食を感じたくなる時にキャンプをしたくなるようだ。

「ここは桜が綺麗に咲いているとか、紅葉が見頃だとか、今の時期はアジが釣れるとか。その季節を自然の中で楽しみたいと思っています。せっかく山形にいるので目や耳で、そして食で楽しまないともったいない、今キャンプしないともったいない!という気持ちになります。」

山形の豊かな自然と食へのあくなき探究心がMIKIさんのキャンプ心に火をつけているのかも知れない。

小川テントのシャンプラン。

移住はゴールではなくスタートだった

今後の山形ライフはどうしていきたいですか?

「昨年末に、ご縁があり家の裏の土地を購入しました。これから2人でゆっくりじっくり時間をかけて、私たち家族や友人たちみんなが楽しめる場所にしていこうと思っています。小屋を建てたり、ファイヤーピットを作ったり。とても景観の良い場所なので、いずれは1日1組限定のゲストハウスを建てる事が、私たちの今の夢です。」

長い目で着実に、背伸びをせず自分のペースで。

MIKIさんの山形への移住と山形でのライフスタイルのお話を聞いてみて、移住はゴールではなくスタートなのだとあらためて感じた。

MIKIさんの山形移住ライフはまだ始まったばかりなのかもしれない。

OUTDOOR SHOP DECEMBERスタッフ。 夫の影響でアウトドアを取り入れたライフスタイルへ。 キャンプ、登山、釣り、スノーボードなどで、四季豊かな山形の自然を楽しんでいます。

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